6週間のヨーロッパ遠征。
その初日から、レッドクレーでプレーすべき理由を痛感しました。
これは「コートに教えられるテニス」の話です。
レッドクレーの表面的な特徴では語りきれない
「ボールが遅い」「ラリーが続く」「決まりづらい」。
レッドクレーの特徴としてよく語られる要素です。
確かに間違ってはいない。でも、本質はもっと深い。
実際にこの環境に来て、選手がプレーする姿を見て、
あらためて理解しました。
強制的に叩き込まれる “微調整の力”
レッドクレーでは、踏み込んで打つことができない場面が多くあります。
理由はシンプル。イレギュラーが起きるからです。
だから選手は自然と下がる。
後方にジャンプし、エネルギーを吸収してはじき返す。
ポジションを下げて準備することもある。
つまり、フットワークとスイングに「ちょっとした工夫」が必要になる。
この「微調整」ができなければ、勝てないのがレッドクレーです。
“スイング”も最適化されていく
レッドクレーでは、フルスイングしてはいけない場面があります。
- バウンド直後の不安定さ
- 相手の重たいボールが突先に来た時
- 自分のポジションが崩れているとき
そういった場面では自然とスイングの幅や速度が変わる。
この結果、プレースメントの感覚が磨かれていく。
「プレースメントを練習する」のではなく、
コートが勝手に教えてくれる。
それがレッドクレーの真の教育力です。
“考える力”が磨かれる場所
このサーフェスでは、毎回明確に問いが突きつけられます。
- なぜ今のショットは決まったのか
- なぜあのミスが起きたのか
- 何がズレたのか
これを無視してプレーはできない。
だからこそ、選手は自分を“最適化”させていく。
レッドクレーは「選手に考えさせるコート」です。
コーチも“アップデート”が求められる
レッドクレーは、選手だけでなくコーチ側の意識も変えさせます。
「振り抜け」「もっと強く」だけでは成立しない。
どこで力を抜き、どこで攻めるかを見極める目が必要。
当然、伝える言葉も変わってくる。
だからこそ、レッドクレーはコーチも育てる土です。
最後に
将来、世界で通用する選手とは、
「順応し、微調整できる選手」だと私は思っています。
振り遅れでもなんとなく決まってしまうような環境では、
未来は築けません。
レッドクレーは、“なんとなく”を許してくれない。
だからこそ、選手もコーチも、本質的に成長できる。
いま、それを目の前で体感しています。